2019年に発生した台風19号では、河川から約800m離れた場所でも、河川の水が排水管や下水管を通じて逆流し、マンホールや排水溝から溢れました。それにより、高層マンションなどの地下電源設備が浸水し、数週間、停電と断水の被害に遭いました。
河川が近くにない場合でも、内水氾濫によって水害被害に遭う可能性がありますので、氾濫の種類を正しく理解し、水害リスクに備えましょう。
出典:気象庁「「防災気象情報について⑦」避難勧告等に関係する諸情報(洪水・浸水)の技術について」を加工して作成
国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、各市区町村が公開しているハザードマップ(内水氾濫を含む)へのリンクや、国土交通省または都道府県が提供する洪水(外水氾濫)による浸水想定区域及び想定される水深等の情報を掲載しております。
事前に事業所周辺の浸水リスクを把握し、対策をしましょう。
※ 市区町村によっては、内水氾濫情報を公開していない場合がございます。
URL:https://disaportal.gsi.go.jp/
毎年どこかで大雨による河川の氾濫などにより、住宅・資産、公共施設などに損害を与え、時には人命を奪う「水害」が起こっています。全国にある1,741市区町村(2019年末)のうち、2011年から2020年までの10年間に一度も水害が起きていないのは、驚くことにわずか56市区町村(3.2%)に過ぎないのです。
※水害による土石流、地すべり、急傾斜地の崩壊も含む
※参考:政府広報オンライン
※気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」より
2004年7月新潟・福島豪雨(7.13豪雨とも呼ばれる)で浸水した三条市では、倒産や廃業に追い込まれる事業所が多発し、三条市がまとめた市内事業の被害総額は約289億円にものぼりました(2005年8月1日現在)。
また、同年7月の福井豪雨では、福井県の染色会社が浸水被害により主要な機械がすべて使用不能となり、自主廃業、全従業員解雇となりました。
(参考・出典/「水害レポート」国土交通省、三条市HP、新潟県HP)
被害を受けても、中核となる業務がなるべく中断しない、中断してもできるだけ短い期間で再開することが望まれます。そのために、普段から「事業継続」のための事前対応をすることが重要です。
●機械設備の電気系統が水を被ると修理に1ヶ月かかることも
●パソコンサーバーが水災に遭い受注データが使えないことも
そうなると
「顧客の他社への流出」
「マーケットシェアの低下」
「企業評価の低下」
ということになりかねません。
●地域が洪水に見舞われたときの浸水の程度が、国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で見ることができます。
●ハザードマップで、事業所の周辺の浸水等の危険区域を把握するとともに、事業所独自の危険箇所も洗い出しましょう。
1.事業所にはどこから水が入ってくるのか?
2.どこに止水対策をすれば、よいのか?
3.浸水からどうしても守らなければならないものは、どこに移動すればよいのか?
災害時の避難や、事前の防災対策に役立つ情報を公開しています。
<大雨が降った時>
●どこが浸水するおそれがあるか?
●どこで土砂災害の危険があるのか?
●どこの道路が通行止めになりやすい?
https://disaportal.gsi.go.jp
台風は被災までのリードタイムがあるので、事前の対策がとれる災害です。平常時から地方自治体や関係機関と企業等が共通の時間軸に沿った具体的な対応を協議し、タイムライン(防災行動計画)を作成しておくことが大事です。
※「タイムライン」とは、大規模水害に備えた国・関係機関・自治体・住民の対応を、台風の発生から時間ごとに定めた防災行動計画。